眼球は球形をしていて、カメラに例えると水晶体はレンズ、虹彩はしぼり、網膜はフィルムの役割を果たしています。これらの機能が見ようとするものに合わせて、自動的に、しかも瞬間的に働いて物を識別できます。
眼(遠近)の調節は、水晶体の厚みによってなされます。水晶体に付着している輪状の毛様体筋が収縮すると、水晶体は厚みを増して近くの物に焦点が合い、逆に毛様体筋が弛緩すると水晶体は扁平になって遠くの物に焦点が合うようになります。
近視とは、遠方の物体の像が網膜手前に結像する(焦点が合う)結果、遠方のものが良く見えない状態を言います。一般に、眼軸(眼球の前後の長さ)が長すぎる場合が多く、凹レンズで矯正します。
遠視とは、遠方の物体の像が網膜の背後に結像する(焦点が合う)状態を言います。矯正は凸レンズで矯正します。
一方乱視は、角膜の水平方向と垂直方向の曲率の違いにより焦点が合わない状態を言います。また老視とは、加齢により水晶体が弾性を失い、遠近の調整力が衰え、近点に焦点が合い難くなる状況を言います。
参考文献:
・「標準生理学 第5版」(医学書院 本郷利憲 他著)
・「視力がよみがえる!中国式目の体操」(マキノ出版 発行 本田傳 著)
中国式目の体操とは、視力回復を目的に、目の回りにある様々なツボを押す体操のことを言います。この体操は、水晶体の調節力を回復させる作用があり、近視だけでなく老視にも多大な成果が上がっています。昭和51年度に静岡県の小・中学校(16校)において中国式目の体操を3ヶ月間実施したところ、45%の児童・生徒の視力が向上いたしました。
中国式目の体操は、近視・老視と言った眼の遠近調節の問題だけでなく、色覚異常、飛蚊症、頭痛、高血圧、顔面神経痛等、様々な疾患の改善に寄与しています。
中国式目の体操を始めるにあっての注意事項は以下の通りです。
・両目を閉じて行うこと
・爪を短く切り、両手を綺麗にして行うこと
・眼球を指で直接こすったり、強く圧迫したりしないこと
・毎日、午前と午後の2度は休まずに続けること。1日何度行っても構いません
・目の病気のある場合は、医師の指示により行うこと
中国式目の体操は、次の7つの体操からなります。
@ 第1の目の体操 (天応)
A 第2の目の体操 (睛明)
B 第3の目の体操 (四白)
C 第4の目の体操 (太陽)
D 第5の目の体操 (風池)
E 第6の目の体操 (翳風)
F 第7の目の体操 (合谷)
・出展元 :「視力がよみがえる!中国式目の体操」(マキノ出版 発行 本田傳 著)
・著者紹介 :本田傳 (静岡大学眼科医会顧問・医学博士・岳陽市第二人民医院名誉技術顧問)
◆ より効果的な中国式目の体操を目指して
眼球の周りには、眼球を動かす6つの筋肉(上直筋、上斜筋、内側直筋、外側直筋、下斜筋、下直筋)があります。長時間のパソコン作業やテレビ等により一点を見続けていると、これらの筋肉も疲労を起こします。そこで、これらの筋肉のストレッチを中国式目の体操の前に行うと、更なる効果の向上が期待されます。
ストレッチの方法は、ゆっくりと眼球を上下、左右、斜上右・斜下左・斜上左・斜下右に動かし、それぞれの箇所で10秒ずつ止めます。最後に眼球を時計回りに1分かけて回し、その後反時計周りに1分かけて回します。
その他、「目を思いっきり閉じて10秒程した後、思いっきり開けて10秒維持」と言った、目の周りの筋肉(眼輪筋、上眼瞼挙筋)のストレッチを行うのも更に効果的です。